2021年5月21日金曜日

令和3年 5月号

 3月から4月にかけて卒業や入学、そして就職など社会全体が大きく変化する時期でもあります。新しい環境に胸を弾ませる者もいれば、緊張で身体の具合が悪くなったり、未知の世界に飛び込むような不安にかられて精神的に落ちこんだりする人もいます。

しかしいずれにしても人間誰もが通過しなければならない道のりであり、こんな筈ではなかったと思いながらも、大なり小なり人生の訓練所に入って磨きをかけられていくのです。私のように高齢者になっても未だにこれでもかこれでもかと研磨機にかけられていますが、若い人とは比べ物にならないほど人生のキャリアがあっても容赦なくふりかかってきます。

高い山に登ろうとすれば試練の連続、低い山の頂上で団欒するような楽しさはありません。自分はどの程度の高さを目標にしているか、人それぞれ目指すところは違っても人間を鍛え上げてくれる研磨機から逃れることはできません。

但し磨かれる度合いにも段階があって適当に平凡な人生を送ればいいと思うような人にはそれなりに柔らかい研磨機で済まされても、芸術やスポーツなど限りない努力を求められるような世界では厳しい研磨機が次から次へと与えられ徹底して磨きをかけられるのです。

若い人にはどんな夢でも描ける自由が与えられています。そしてチャレンジできる無限の可能性があります。その夢を育むために向上心という素晴らしい意識を持ち合わせています。

自分が好きで夢中になれることの中に本来の才能があることを信じて果敢にチャレンジしていってほしいと思います。 





令和3年 4月号

 ある子どもミュージカルでの話ですが、公演をすることになっていた会場が突如新型コロナウイルスのワクチン接種の会場に決まったために予定していた公演ができなくなったというのです。行政が決めたことなのでいくら文句を言っても通用するはずもありませんが、あまりに一方的な強引さに開いた口が塞がりません。

しかし父母会の皆さんは怯むこともなく代替の会場を探し出し、却ってキャンセルした会場よりも数倍もグレードの高いホールが見つかったというのです。私は素晴らしい教訓として拍手を送りたい気持ちになりました。

もちろん経済的には当初の予算を遥かに上回ること必定で劇団としてもその埋め合わせをしなければと思っていますが、キャンセルになった途端の父母会の素早い対応、行政に対する怒りよりも気持ちを切り替えて行動を起こしたその結果が通常では考えもつかなかったような最良のホールが与えられたのです。

しかしその後キャンセルに対しての賠償問題などがあるにしても、いち早く公演を成功させるために奔走したこのカンパニーの快挙が今後どのような影響をもたらすのかとても楽しみになってきました。

何事もマイナス的に捉えるのではなく、きっと良くなるという信念を持って前向きに進んでいくことが最も大切なことのように思います。その時点では最悪と思われるような事でも後になって考えてみると人生の重要なターニングポイントとなっていることに気がつきます。たとえ無駄と思われるようなことがあってもそれは自らを高めるために与えられていると思えばいいのです。

必ず良くなるという信念を持つことが人生必勝の真理だと思いたいですね。