2021年8月9日月曜日

令和3年 8月号

 最近劇団員や劇団出身者の外部の大舞台での活躍が目立ってきた。劇団四季の人気ミュージカル「アナと雪の女王」は6月に開幕したばかりだが、新百合KM出身の浦山遥が出演するというので招待してくれた。アンサンブルの中でも主要な役で活躍している彼女の奮闘振りに心湧き立つ思いで見入っていた。

又、西船橋KM出身の辻本朱里が宝塚の初舞台で新人の口上を述べるというので本拠地の宝塚大劇場に足を運んだ。宙組(そらぐみ)の公演で折しもそこには初台KM出身の田草川ゆかり(澄風なぎ)が大先輩として出演している。

その公演の冒頭で新人としての辻本の口上を述べる初々しさに今後の活躍を期待せずにはいられなかった。それにしても先輩の澄風なぎの成長振りには目を見張るものがあり、舞台上での華やかさキレの良さ、笑顔の素晴らしさに惹かれ久々に宝塚を堪能してきた。

さて、出身者でなく現役の劇団員でいきなり話題のミュージカルの主役に抜擢された幸運な男の子がいる。10月7日から東急シアターオーブで開幕する「オリバー !」の主役オリバー・ツイストに東久留米KM越永健太郎(中1)が厳しいオーディションを突破して選ばれたのだ。

B-プロに所属してこのチャンスを掴むことになった。併せて浦安KMの黒川明美も子役のアンサンブルとして出演する。又大先輩の西船橋KM出身の北川理恵も「オリバー !」で共演するが彼女は現在様々な大手の舞台で切れ目なく活躍、アニメ「プリキュア」の主題歌も歌っている。

南大沢KM出身の高原華乃は8月7日からの銀河劇場での「鬼滅の刃」に出演、大阪でもやって東京の凱旋公演が控えている。

これからもB-プロを通してメジャーで活躍する劇団員の輩出を期待するところである。






令和3年 7月号

 若い人たちを見るとうらやましく思う度合いが日に日に濃くなっていく。肌をみれば何の汚れもないようにツルツル輝いているし、例えニキビが花盛りであっても全身から発散している生気が漲っている。若さというものはあらゆる可能性を内包しているから自分の人生をいくらでも有意義に大きく展開させることができるからうらやましいのだ。

思うようにいかなくても失敗しても恐れることはない。いくらでもやり直せばいい。世の成功者と言われている人は失敗や挫折を人並み以上に経験し、そこから這い上がってきた人達だ。

スポーツや芸事は厳しい練習や稽古を繰り返しやっていることは誰でも知っている。行く手を阻む壁が立ち塞がりそれを乗り越えなければ勝利を掴むことができないことも知っている。しかし長い人生に例えるとスポーツの訓練のように必死に耐えて努力をしなければならないことを知っているだろうか。

一度や二度どん底に落ちたからと言ってそこで諦めてしまったらそれでおしまいだ。這い上がってそれまでの失敗の経験を生かして再び挑戦していけばいいのだ。若者の持つエネルギーというのは簡単に枯れたりしないが年齢を重ねてくるとあっという間に下降線を辿ることは誰よりも私自身が一番よく知っている。だからこそ若いうちにどんどんチャレンジしていけばいい。それが若者の特権でもあるのだ。

のほほんと遊びや快楽に浸っているうちにその特権はいつの間にか期限切れになって消えてしまう。今、今を精一杯生きないのは勿体ない。明日がないと思えば今日をどれだけ真剣に生きられるか、一日一日を大切に生き切る自分の人生を豊かなものにしてほしいと願わずにはいられない。





令和3年 6月号

 コロナ禍にあって劇団もいろいろ振り回されていますが成るようにしかならないと腹をくくって開き直っています。5月のゴールデンウィークを挟んで出された緊急事態宣言が5月一杯に延長されると聞いた時にも3日後のアカデミー公演「彼女たち」はどうなるのか心配しても仕方ないので成り行きに任せることにしました。幸い劇場使用が宣言下にあっても50%の集客であれば可能という政府の緩和策が施されギリギリで上演態勢に入ることができました。

ところがゲネプロの日になってメインキャストの一人が身体の不調を訴えたために万が一のことを考えて降板させ代役を立てることにしました。何ヶ月も稽古して積み重ねてきた役を、しかも予めアンダースタディーとして控えていたならまだしも、代役でできるのか !? バニック状況に陥りました。

演出助手の福原佑実であれば出来るかもしれない、と演出の中沢千尋が本人に打診したところ複雑な思いを抑えてOKしてくれました。本番の前日です!!  夜も眠れなかったに違いありません。一応カンニング用に持ち道具のファイルに台本を忍ばせてやりましたが、正に奇跡 !!  何の損傷も感じない程凄腕のピンチヒッターは本番の舞台でしっかり役目を果たしてくれました。

彼女がいなかったら公演中止になっていたところを見事に救ってくれました。又2日目の最終回では上演途中で気分が悪くなった高校生がいてその穴埋めに出演者が本番中必死でカバーするという前代未聞のアクシデントもありました。しかしキャリアのあるチームワークによってこれまでにない高い評価を受けるに至り、成るようになった感慨深い体験をすることになりました。