tag:blogger.com,1999:blog-30916286082065573492024-02-21T10:45:38.983+09:00清流青砥洋が毎月発行の劇団通信に寄稿した文章[清流]を掲載しています。
劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comBlogger73125tag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-70287697645415289582023-12-25T09:26:00.002+09:002023-12-25T09:26:38.650+09:00令和5年 12月号<p> 創立30周年記念公演も無事終えることができました。80人の子どもたちに囲まれて幸せな環境での公演でしたが、一方では自らのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらの厳しい公演でもありました。</p><p>今年に入って二つの舞台に出ると決意した瞬間からこれまでにないプレッシャーに襲われ、コロナの後遺症が一年余経過しても元の体調に戻れない中での無謀な決断だったからです。それに加え体調不良によってもし途中で出演できない状況になれば公演中止にもなりかねないシングルキャストの重圧がのしかかり、取越し苦労的な妄想と闘いながらの日々が続いていったのです。</p><p>就寝時になると咳き込むのが当たり前のような日常には慣れてはきたものの舞台の最中に咳き込んだらどうしようという恐怖心は本番までずっと付き纏っていたのです。しかし老骨に鞭打つとは正にこのような状態であり、最終的には開き直るしかありませんでした。</p><p>楽屋で準備しているときに咳は出ても舞台に上がってセリフを言っている時には不思議と咳のことは忘れ、逆に相手のセリフを聞いている時や間がある時に限って身体の中から出るぞ、出るぞという信号が送られてくるのです。それを押し留めるために腹筋に力を入れて耐えていなければなりませんでした。</p><p> このような状況の中でも何とか公演を全うできたのは自分の力ではない不思議な力によってもたらされたもののような気がしてなりません。それにしても周りの出演者は一部の高校生を除いてほとんどが小学生と中学生でその子ども達のバワーには圧倒され続けていました。</p><p>子ども達がミュージカルの舞台に立ってのびのびと活躍できる環境を「大きな夢」は30年かけて作り上げてきました。私にとっても劇団にとっても大きな節目となった今回の公演はお陰様で大過なく無事に幕を閉じることができました。感謝しかありません。この機に老兵は去りながら後に続く若者達の活躍を見守り続けていければと思っています。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><div><br /></div>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-71683832964327970192023-12-25T09:23:00.003+09:002023-12-25T09:23:50.963+09:00令和5年 11月号<p>9月のアカデミー公演「ハムレットレポート」に出演しましたが、私の役者人生初体験の大きな失態、セリフが突如出てこなくなるという哀れな状況に見舞われてしまいました。</p><p>セリフというのは一旦頭の中に入ってしまえば稽古を重ねている内に自然に身体から出てくるようになり、例えば他のことを考えながらでもセリフのリズムに乗ってさえいれば淀みなく言葉が出てくるものです。しかし私の場合瞬間頭の中が真っ白になり、次のセリフが出てこない状況が稽古中に何度かありました。そのような時プロンプター(陰でフォローする人)がいて次の頭のセリフの一言でも言ってくれれば思い出せるものを、本番では舞台セットやワイヤレスマイクの問題もあってプロンプターは必要ないと自身で決めつけ、その代わり毎日しっかり身体に覚え込ませようと嘗てないほど反復練習に精を出しました。</p><p>老化現象と認めてクヨクヨするわけにもいかないので本番では開き直って舞台に立ちました。ところが稽古中では何の問題もなかった箇所で突然セリフが出てこなくなってしまったのです。みっともない最悪の状態でしたが、周りの若い出演者たちに助けられ何とか終えることができました。</p><p>人にはそれぞれ与えられた寿命があって長生きする人もいれば早逝する人もいます。役者としての寿命も人それぞれで私は今の81歳が限度だと言い聞かせています。これまで役者は健康であれば幾つになってもできるものだと考えていましたが、とんでもない、持っている部品がどんどんダメになっていく現実、補聴器をつけて舞台に立っても自分の喋っている音量がどの程度かも曖昧で、こんな情けない状態でやるべきではないと自戒しています。自然が与えてくれた流れの中でもう役者は卒業しろと天から聞こえてきたような気がします。</p><p>「緑の村の物語」のセリフで「自分で弾けなくても教えることはできるんだ」と悟るシーンがありますが、そうなのです。私の残りの人生を捧げます。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-58343862146038920942023-12-25T09:21:00.000+09:002023-12-25T09:21:02.205+09:00令和5年 10月号<p> 最近のミュージカルの舞台は観客事情が大きく変わってきたように思います。</p><p>これまでもソロで歌い終わった役者には当然のように客席から拍手が起こっていましたが、最近では劇中でリズムに乗れるような歌のナンバーが出てくると、それに合わせて観客が手拍子するまでになってきました。更にカーテンコールになると拍手が会場一杯に鳴り響き、出演者が舞台上でバウ(おじぎ)するのが4度目くらいになると一斉に立ち上がってスタンディングオーベーションに変わります。</p><p>確かにブラボー !!と拍手を送りたい時もありますが、逆にそれほどでもないような舞台でもお決まりのように観客総立ちで拍手を送るようになってきました。私のような偏屈者は意地でも立ちたくないと思った時は座ったままで前に立っている人のお尻をじっと眺めていることにもなります。恐らく私と同じように立ちたくない人もいるでしょうが、よほどの信念と勇気がない限り雰囲気に負けてしまうでしょう。なんとかならないものかと思っても観る人それぞれ感性や興奮度が違うので一概にどうすることもできずただ我慢するだけです。</p><p>そんな私だっていつかロンドンで「マンマミーア」を観た時はカーテンコールで異常なほど興奮し縄跳びのようにジャンプを繰り返し拍手を送ったこともありました。とにかく出演者にとっては観客の拍手は演じた舞台が認められた証のように捉え、何よりの励みとなって益々舞台の魅力に取り憑かれていきます。</p><p>我が劇団の公演でもそのような傾向が今年になって特に目立つようになってきました。それでもまだ拍手をしていいものか戸惑っているお客様もいるようですが、そのうち子どもミュージカルでもスタンディングオーベーションが当たり前になってくるのかもしれません。</p><p>それにしても上演中の携帯の呼び出し音や幼児の泣き声など、お客様の事情がどうあろうと最低のマナーだけは守ってほしいと-----いやいやそれでもお客様は神様でございます。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-23761558684011277272023-12-25T09:16:00.000+09:002023-12-25T09:16:56.467+09:00令和5年 9月号<p> 婦人之友社の雑誌「明日の友」の編集部から、「緑の村の物語」に主演する私を取材したいとの依頼があり、80名の出演の子どもたちに囲まれての熱気あふれる稽古場で取材を受けました。</p><p>この「明日の友」は創刊50周年という歴史ある高齢者向けの季刊誌で、健康問題や日々の生活のあり方など私の年齢になると成る程ごもっともといちいち頷けるようなとても興味を惹かれる内容の雑誌で、私が取材を受けたのは秋号として10月に発売予定だそうです。その編集をしている方が2人のKM劇団員のお母さんで父母会長もなさっていたというご縁から今回のお話をいただきました。</p><p>事前に取材の内容や質問事項など提示されましたが、劇団の歴史や私が辿ってきた半生は3年前出版した書籍に詳細に書き綴っていましたので、それに倣ってお話しすればいいと思っていました。ところがいざ対面で質問されたりすると老化の影響もあるのか以前の考え方とは多少違った視点で物を言っていることに気がつきました。いや、老化とは思いたくないのですが劇団に対する考え方や捉え方が微妙なところで変わってきたように思います。</p><p>これまでよりも俯瞰的な立場で劇団を見ているような変化でしょうか、30年の歴史を振り返りながら改めて考え直すきっかけを与えられたような気がしたのです。覚醒的タイミングと言えばオーバーな表現かもしれませんが、新たな展開の可能性を示唆する程度のものであっても私にチャレンジする気を起こさせてくれたことは事実です。</p><p>又最後の質問で私の大きな夢は何かと問われて現世では実現しないような夢を語りましたが、恐らく後進のスタッフは引き継いではくれないだろうと無責任な発言をしてしまいました。その途端、取材に立ち会っていた幹部の霜島愛生が「そんなことありません。私たちはみんな先生の夢を引き継ごうと思っています!!」と力強く言ってくれたのです。</p><p>あゝ私はまだ彼らを信じていなかったのか、恥ずかしさの一方で後を継いでくれるスタッフの心強い想いを知って嬉しさが込み上げてきました。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-50460691049919507402023-09-04T13:34:00.003+09:002023-12-25T09:11:26.345+09:00令和5年 8月号<p> 劇団はミュージカル活動を積極的に展開しながら、児童劇団員の情操面での育成を掲げての活動でもあります。では情操とは何か、広辞苑によりますと「感情のうち、道徳的・芸術的・宗教的など文化的・社会的価値を具えた複雑で高次なもの」とあります。そして情操教育となると「創造的・批判的な心情、積極的・自主的な態度、豊かな感受性と自己表現の能力を育てることを目的とする教育」とあります。</p><p>このような難しい定義を改めて考えると、私たち劇団活動が安易に情操教育なんておこがましいことを言ってはいけない気にもなります。特に発育段階にある子ども達は生まれた環境の中で、それぞれが個別の情操面を育みながら成長していきます。その環境の中心にいるのはもちろん親ですから、親の育て方によって子どもの情操面も大きく変わってきます。</p><p> 劇団ではそれぞれ違った環境で育った子ども達が集まってきて、更に「ミュージカルの創作」というそれまでとは全く異なった環境で活動することになります。芸術的才能を持った子もいればそうでない子もいます。スポーツ向きの子もいれば、異次元の世界に舞い込んできたかのように、萎縮して最初はなかなか馴染めない子もいます。しかしみんなで一緒になって作品を作り上げるさまざまの体験を通して、それぞれが個性的な情操面の育成に自然と繋がっていくのです。ですから劇団で掲げる情操教育も、結果として少しは役に立っているのかもしれません。</p><p> 最近の若者の犯罪や自殺が増えていますが、劇団のように一つの目標に向かってみんなで作り上げていく活動をしている子ども達には縁のないことのように思われます。楽しくて夢中になれるミュージカルの舞台に立った子ども達が、間違った方向に進む訳はないと思いたいのです。「学校には行きたくないが、劇団は休みたくない」という声をよく聞きます。親御さんにとっては複雑でしょうが、劇団を楽しく続けているお子さんをどうぞ信じてあげてください。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><div><br /></div>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-54511796697740108282023-09-04T13:31:00.003+09:002023-12-25T09:11:36.192+09:00令和5年 7月号<p> 若者には限りない未来があり大きな夢を描くことができる。夢を描くことは、将来に対しての設計図を作り、自らが設定した具体的な進路に向かって、果敢に挑んでいくパワーを与えてくれる。芸術やスポーツにおいては、努力目標も明確に示されていて、そのラインに沿っていけばある程度は描いていた夢に近づくこともできるが、次第に到達点はどこにあるのか定まらなくなり、設計図を修正しなければならない時がやってくる。</p><p>例えばスポーツは現役選手の寿命というものがあり、引退してからの人生をどう生きるのか、俳優にしてもスター的存在になった後の人生がどうなるのか、アイドル的女優などもある年齢に達した時のギャップに遭遇して、以後の生き方を考え直さなければならない時が来る。幼い頃から描いてきた夢の修正、設計図を書き直す楽しみな時期が必ずやってくるのだ。</p><p>しかしそのようなことを見越して、現実的な夢を描けということでは決してない。若い時にしか出来ない何にでも挑戦し可能にしてやるぞという大胆な勢い、いわば無謀とも言えるだけの大きな塊が若者によって弾ける勢い、それが新しい世界を作り上げる。</p><p>だからできるだけ大きな夢を描いてほしい。たとえ夢が破れてもまた、新たに夢を描けばいい。恐れることはない、躊躇するな、何度も修正していけるのが若者の特権だ。私にも若い時があった。これまで何度も修正を迫られてきた。だからこそもっと大きな夢を描けた筈だと振り返っても見るが、反省だらけの半生を今更どうすることもできない。</p><p>最大の修正は劇団四季を辞めた時、さて明日からどうして生きていこうかと考えていた矢先ふと児童劇団をやってみようと思いついた。収入のアテもない無謀な決断だったが、今大勢の子ども達や若者に囲まれた境遇を考えると、不思議な気がしてならない。どんな夢にも勝る至福の場所が劇団であり、そのような素晴らしい場所を与えてくれた神に限りなく感謝している。我が夢を修正したおかげである。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-8262837828571529052023-05-30T20:02:00.003+09:002023-05-30T20:02:55.515+09:00 令和5年 6月号<p> 宝塚歌劇団に入った児童劇団「大きな夢」の出身者は3人います。第一号が「初台KM」にいた田草川ゆかり (芸名 澄風なぎ)。彼女は十数年来宝塚の舞台に立って華やかに活躍していました。そのお陰で私も宝塚歌劇を観る機会に恵まれ東京公演だけでなく本拠地の宝塚大劇場まで足を運んだこともあります。男役として颯爽とした姿で登場する度に私はおじいちゃん目線でうっとり観ていました。</p><p>彼女はそのような舞台写真を近況報告と一緒に送ってもくれたりもしていましたが、今年6月の公演を最後に卒業することになってしまいました。卒業は宝塚の宿命みたいなところでしょうが、まだまだ若い彼女、女優として新たなスタートを切るこれからの活躍に心からのエールを送りたいと思います。</p><p>そして続く二番目はと言っても田草川とは10年以上の開きがありますが昨年デビューした「西船橋KM」出身の辻本朱里(芸名 瞳月りく)。私が彼女に一度宝塚を見た方がいいとチケットを手配したのがきっかけで宝塚歌劇に目覚め、2年間の宝塚音楽学校を経て昨年の4月のデビュー公演で堂々と口上を述べ正式にタカラジェンヌとしてのスタートを切りました。たまたまこの舞台が澄風なぎの所属している「宙組」の公演ということもあって、宝塚大劇場に出向き二人の孫を見るような目線で酔いしれていました。</p><p>そして3人目は今年4月にデビューした「初台KM」出身の山田早瀬(芸名 早瀬まほろ)。招待を受けたこともあって福岡KMの本番が終わっての帰途5月9日に宝塚に寄ってデビュー公演を観劇しました。彼女は新入団員の序列の二番目に位置していて期待度が高くこの先の活躍が楽しみな存在です。この雪組の公演は前述の「瞳月りく」も出演いて期せずして私の席のすぐそばで踊っていた彼女と一瞬目があったのが印象に残りました。</p><p>厳しい訓練を乗り越えてこそ華やかさが際立つ舞台であり、彼女らの魅力あふれるタカラジェンヌとしてのこれからに期待しています。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><div><br /></div>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-14425182419218359662023-05-30T20:01:00.002+09:002023-05-30T20:01:23.111+09:00令和5年 5月号<p>最近劇団を卒業していった教え子たちから舞台の案内がいろいろ来るようになりました。それらの招待状が届くたびにそれぞれの道で活躍している姿を思い浮かべ、できるならその奮闘ぶりを実際に見て声援を送りたい親心も湧き上がってきます。しかしスケジュール的にうまく調整できないこともあってやむ無く断りを入れることもあります。劇団在籍時に私に絞られた子がその後の成長をぜひ観て欲しいと言ってくる健気さも理解できるので誠に心苦しいところでもあります。</p><p>先日東京芸大声楽科ソプラノ専攻3年の神原愛可(初台KM出身)が同期の3人でコンサートをやったのを観に行きました。神原は初台KMにいる時からメインで活躍していましたが、てっきりミュージカルの道に進むと思っていたのが桐朋学園の声楽科を経て難関の東京芸大声楽科に進みそのガッツに驚かされました。その時々に彼女は心境を知らせてくれていましたが、今回のコンサートは彼女がどの程度成長したのかを確認できる絶好の機会だと思い雨の中を出かけて行きました。</p><p>劇団にいた頃の彼女の歌声がなんとなくは頭に残っていましたが、舞台に立ったソプラの歌声を聴いた途端、戦慄にも似たようなショックを受け唖然としてしまいました。これまでもプロのソプラノ歌手の歌は何度も聴いていましたが、この時は劇団にいたあの子がこんなにも変わることができたという驚き、鍛えて作り上げていく凄さをまざまざと見せつけられてしまったのです。声は磨けば磨くほど限りなく向上するということを目の前で示してくれたコンサートは私に新たな活力を与えてくれた幸せなひと時でした。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-41167387804039448142023-05-30T19:59:00.002+09:002023-05-30T19:59:41.504+09:00令和5年 4月号<p>コロナの後遺症で咳が未だに完治しないまま、秋の記念公演「緑の村の物語」に出演することを決めました。本番中に咳き込んだらどうしようなどと取り越し苦労的なプレッシャーもあって嘗て味わったことのない心許ない心境になっています。</p><p>ところがその心配に輪をかけたように9月に上演するアカデミーの公演「ハムレットレポート」に出演することにしたのです。しかもセリフの多さときたら「緑の村」の比ではなくコロナ以降の私の体調から考えると無謀そのもの、セリフを覚えるだけでも若者の何倍も時間をかけなければなりません。「どうする家康」ではないが「どうする青砥 」! ! その 1ヶ月後には「緑の村」の本番も控えており二つの稽古が同時進行するという役者冥利に尽きる絶好のチャンスと若い時なら捉えたでしょう。</p><p>しかしもう若くない、本当にやれるのか ? 自分を極限にまで追い込んで覚悟を決めてしまったのです。というのも80歳という年齢がともすると万事消極的になり、新聞の死亡記事を見るたびに気持ちが沈み、後期高齢者というレッテルを貼られてもう先は短いですよと警告されているような暗い気分にもなりがち、これではいかんぞ 、前向きな生き方をしろ !! と敢えて大量のセリフが待ち受けている難関の道に挑むことにしたのです。アカデミーの劇団員は大学生や高校生、正に旬の若者達、そのエキスをもらいながら共に汗を流せる最高の環境、その利用価値に目覚めたのです。</p><p> 「ハムレットレポート」は大学の演劇科を中心に劇中劇「ハムレット」を挟んで進行していきます。私はハムレットの父親を殺害したクローディアスという叔父の役で、ハムレットと対立します。主演のハムレットを演じるのは高校生3年生の伊藤圭伸、暇を見つけては彼とマンツーマンの稽古をしていますが、回を追うごとにみるみる成長していく若者の姿は実に刺激的で羨ましい限りです。 </p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-50925114868725802992023-03-18T17:20:00.002+09:002023-03-18T17:20:24.992+09:00令和5年3月号<p> 昨年の「夢コン」で卒団していった劇団員は25名でした。年々その数が増えていきますが、それぞれ卒団した後の進路も気になります。</p><p>演劇や音楽の道に進むために大学や専門学校に行く者もいれば、劇団四季や宝塚歌劇団を目指してプロになるためのレッスンに励む者もいます。中にはその後の進路や活躍している現況を丁寧に報告してくれる者もいますが、知られたらまずいとでも思うのか何も報告がないまま遠ざかってしまう子もいます。</p><p>恐らく同じような業界でもっとチャンスを掴めたらと思ってのことでしょうが、別に隠すことでもなく堂々と胸を張って言ってくれればいいのにと残念に思うことがあります。</p><p>それならまだしも過去にあった別の例ですが、幼い頃から親身になって育ててきた大学生がある時一言の挨拶もなしに退団してしまうという礼儀知らずな行為に面食らったことがありました。挨拶するという最低のルールさえ守れない子だったのか、親御さんも然りで虚しさだけが残っています。これに似たようなケースはいくつもありました。</p><p>私たちの劇団は子ども達のやりたい進路を妨害したり否定したりする訳では決してありませんが、進路を決める前に間違った選択だけはしないようにと願う親心はあります。ほとんどの劇団員がこの業界のことをあまりにも知らないために少しでも参考になるようなアドバイスをしてやりたいと思うのは人情であって、いわば私たちの義務でもあります。</p><p>知らないために高額な入会金や登録料を支払い、おざなりのレッスンでごまかされている例には事欠きません。大手のプロダクションなどでも新人発掘のために多くの人材を募集し、その中で一人でも逸材を発見できれば御の字という裏事情もあってか、他の者は犠牲者的な扱いで一定期間を終えることにもなりかねません。</p><p>憧れているようなスターになりたいのか、芝居やミュージカルの舞台で活躍できる役者になりたいのか、あるいは劇団に貢献しながら俳優としても活躍したいのか、選択肢も様々、保護者共々見極める目を持つことが問われます。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><div><br /></div>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-49305701646258271052023-02-08T21:19:00.004+09:002023-02-08T21:31:22.843+09:00令和5年1・2月新年号<p> 昨年から今年にかけてBプロはこれまでにない活況を呈しています。</p><p>今年も既に外部のメジャー舞台の出演が何人か決まっていて、それに出演する劇団員は子どもミュージカルとのスケジュール調整が大変で、Bプロの担当者はとても苦労しています。</p><p>大手の舞台になると稽古から本番と何ヶ月も押さえられてしまうため、場合によっては所属の KMでの公演に出演できなくなることもあります。なんとか調整しようとKMの主任講師と話し合ったりしていますが、この大切な時期をうまく調整しないと折角のチャンスを潰すことにもなりかねないので、双方では極めて厳しく慎重に話し合いを進めています。</p><p>しかし劇団員である以上、劇団の公演には無理をしてでも出演させるべきだと私は考えているので、可能な限り両立できるように、例え周りの反感を買うことがあってもKMでの出演を強行させたいと思っています。</p><p>確かに情操教育を全面的に謳っている子どもミュージカルとしては、一部の突出した子を特別扱いすることは良くありませんが、特別扱いではなく、特殊な才能を持っている子を引き上げていくことは教育の務めで当然のことであり、逆にその才能の芽を摘むような愚かな言動があったとすれば、それは決して許されることではありません。</p><p>野球で言えば、少年野球から甲子園、そしてプロ野球、さらにアメリカ大リーグを目指すのと同様、劇団でも才能のある子はどんどん上を目指して向上してほしいと思います。そのような子ども達が居づらくなるような劇団であってはなりません。</p><p>一人ひとり持っている才能も異なり、開花する時期も咲き方も異なってスポーツのような数字で結果が出る世界ではなく、個性を活かした活動ができるミュージカルという世界は、子ども達にとっては掛け替えのない情操教育の場だと思っています。</p><p>特に児童劇団「大きな夢」は、肥料をたっぷり含んだ豊かな土壌であり、その中であらゆる可能性が芽生えてきていることを数多く実証しています。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-69622630038133917002023-02-08T21:15:00.003+09:002023-02-08T21:26:25.111+09:00令和4年12月号<p> 最近電車に乗ると優先席が気になるようになってきました。これまでは自分が座ろうなどとは思ってもいませんでしたが、コロナに感染してしかも80歳になってからは、空いていれば座ろうと時々優先席に目を向けるようになりました。自分でもそんなに年老いたのかと思いながらも、反面それを認めたくない意地みたいなものがあって、ただ眺めているだけで行動には移せません。</p><p>それにしても優先席という意識すら全くない若者たち、当然の如く座ってスマホに夢中になっているのを見ると、情けなさを通り越して憤りたくなります。「おいおい君たち、ここは優先席だろう、サッサと立てよ !!」と言いたくなりますが、逆ギレされて殺されるのも困るし、つい大人しく腹の中に収めてしまいます。</p><p>若者に限ったことでなく、自分のことしか考えていないような人種が増えていることも確かです。ついでに愚痴をもう一つ。私の妻が足に怪我をしてまともに歩けない時期が4ヶ月ほどありました。その間家庭のゴミ出しを私がやらなければならなくなっての感想です。</p><p>私の住んでいる集合住宅は、燃えるゴミ、燃えないゴミ、段ボールや古紙、ペットボトル、空き缶などそれぞれ出せる曜日が決まっていますが、その曜日を守らない家庭が多いのに驚いています。収集車が行ってしまった後に、平気でゴミ袋を置いていく人、夜中にこっそり収集できないような電気製品や粗大ゴミを出している人などモラルの低さに愕然としてしまいます。</p><p>こんな些細な日常生活のルールでさえ守れない人たちが、子どもの教育やしつけを一体どのように考えているのかと思うと、暗澹たる気持になってしまいます。勿論私の周りにはそんな人ばかりでなく、真っ当な人もたくさんいるのでそれで救われてはいますが‥‥‥</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-61290780836170079442022-11-04T17:00:00.000+09:002022-11-04T17:00:25.277+09:00令和4年11月号<p> 劇団を創設して以来父母会の存在なくして今日の組織的発展はなかったと言えるほど劇団にとって父母会は欠かすことのできない重要なパートナーなのです。児童劇団員の保護者として毎年の公演のために時間と労力を費やし、献身的に従事していただいている皆さんのご努力には片時も感謝の気持ちを忘れたことはありません。</p><p>しかしその父母会の運営が決して順風満帆ではなく、様々な問題が発生して楽しいはずの劇団活動が悩みの種の温床になっているような所もあります。人が集まるところでは必ず人間関係の煩わしさが付き纏いますが御多分に洩れず父母会の第一の問題点として立ち塞がっています。</p><p>誰しも気の合う人と楽しくやりたいというのは当たり前のことですが、常識的に筋の通らないような偏屈な人が一人でもいるとグループの調和が乱れ、その人に掻き回されて本来の健全な父母会活動ができなくなってしまうということです。どうしたら解決するのか相談を受けることが屡々ありますが、内容も様々で一概には言えない複雑な事情を抱えたまま時間の経つのを待つしかない現状に私たち劇団スタッフの悩みも尽きません。</p><p>しかしそのような中でも寛大な心を持って立派にグループを牽引しているリーダ格の人もいて、和気藹々と運営されているのを見るとそこは「真の大人」の集団ではないかと思ってしまいます。往々にして職場でも団体でも個人のわがままが許されない制約の中で仕事をしている人であれば物事を円滑に進めるためにはある程度の我慢や妥協はしなければならないことは分かっている筈です。</p><p>それが大人の付き合い方であり父母会も同様上手く運営していくための鍵になること必定です。その上で子どもたちが劇団でどのように成長していくか劇団のやり方を信じて暖かく見守っていてくださることが大切だと思います。</p><p>生きていて不満や愚痴を言い出したら切りがありません。みなさんの良い面を見ながら明るく楽しい父母会であってほしいと願っています。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-30541393116267302172022-11-04T16:56:00.001+09:002022-11-04T16:56:45.948+09:00令和4年10月号 <p> これまでもこのコーナーに何度も書いてきたことですが、劇団のキャスティングや稽古の在り方などに保護者の方々は一切口を挟まないでほしいということです。これは劇団の規約として守っていただけなければならないことです。誰しもご自分のお子さんのキャスティングは一番気にかかるところで、劇団スタッフの評価はどうなっているのか親御さんの判断の基準として見られているようなところがあります。</p><p>我が子可愛らしさに他の子どもと比較して、あの子よりもうちの子の方が実力もあるのにという陰口はよく聞かれるところですが、陰口ならまだしも、担当スタッフにメールしたり直接クレームを言ったりすることは規約違反で過去に何度もありました。</p><p>児童劇団「大きな夢」は所属している全劇団員に対してどのようにしてチャンスを与えるか、一回ごとのキャストオーデイシヨンでの結果だけでなく、在籍年数や全体の役柄とのバランス、キャラクター、普段のレッスン態度、可能性などいろいろ考えて進めていきます。</p><p>そして実力的に優れた子だけに毎年同じようにメインの役を与えることは極力避けるようにしています。しかし該当する者がいない場合にはその限りではありませんが思い切って白羽の矢を立てて奮起を促すことも劇団の重要な責務として捉えています。</p><p>その結果、今年は思いもよらない配役によって素晴らしい成果をあげたKMが何ヵ所もありました。特に男の子、いや男性というにふさわしい成長過程の男性陣の活躍が目立ち今後の活躍に一層期待が持てる頼もしさを感じました。</p><p>とにかく他の一般的な劇団なら実力主義で出来ない子は切り捨てられていきますが、子どもたちの能力はそう簡単に判断できるものではありません。「大きな夢」はあくまでも子どもたちに内在する可能性を時間をかけて引き出すことに精力を注いでいます。勿論常にメインをやるにふさわしい子はどこのKMにも存在していますが、その子たちに敢えてそうさせない時は、我慢し、耐えて人間的に成長させる機会を与えることも重要だと考えるからなのです。</p><p><br /></p><p><br /></p><div><br /></div>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-10602074386311238772022-11-04T16:54:00.002+09:002022-11-04T16:54:33.918+09:00令和4年9月号<p> 私の車の運転歴は61年にもなる。免許を取ろうと思ったのは18歳の時NHKのディレクターと一緒に多摩テックという遊園地でゴーカートに乗って競走したのが面白く、よし、小さな車でも絶対に買うぞ ! と決意したのがきっかけになった。</p><p>そしてまず知り合いの自動車販売店のおじさんに相談してスバル360という軽自動車を月賦で買うことにした。まだ免許も持っていないのに先に車を注文してしまった馬鹿な奴だと今では思うが、だからこそ一発で免許を取らなければという意気込みだけはすごかった。</p><p>今はなくなったが当時赤坂のTBSの真向かいにあった自動車教習所に通い難なく軽自動車の免許を取得することができた。その当時は普通免許よりも軽い軽自動車用の免許制度があったが、それがいつ頃普通免許に変わったのか、あるいは再試験を受けて取得したのか記憶が定かでないが、とにかく軽免許を持って初めて自分の車を運転することになった。</p><p>12月も押し詰まった30日だったと思うが慣らし運転をしてから正月を迎え、付き合っていた女性を乗せてかっこいいところを見せようと正月でガラガラにすいていた第二京浜をすっ飛ばした。ところが白バイに後をつけられ取り立ての真新しい免許証に早くも傷をつけられてしまった。</p><p>彼女の前で大恥をかいたがそれでも、そんな私を見下さないで今でもそばにいてくれるのが現在の妻である。以来ほとんど毎日のように運転を続けているが、高齢者の事故が頻発している現状では堂々と走れない肩身の狭い思いをしていることも確かだ。</p><p>いつかは免許を返納しなきゃと頭をよぎるが、私から車を取ってしまったら生きていられないよ ! 劇団活動に支障が生じるよ ! なんて自分勝手な口実を考えて、もうしばらく運転させてよ ! と、わがまま言ってること許していただきたい。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><div><br /></div>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-84232159262706557912022-08-10T10:49:00.001+09:002022-08-10T10:49:54.164+09:00令和4年 8月号<p> いつの間にか80歳を迎えてしまいました。まだまだ遠い先のように思っていましたが、確実にその時がやってきました。劇団関係の皆さまから温かい励ましのメッセージをたくさんいただきました。それぞれ個別にお礼を差し上げなければならないところですが、この清流のコーナーで申し上げることでお許しいただきたいと思います。お寄せいただきました皆さまに改めて心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。</p><p>全国の子どもミュージカル(KM)からはそれぞれの動画でお祝いしていただきました。ほとんどのKMで最後に「あおと先生だーいすき!!」と結ばれていましたが、スタッフに言いなさいと言われたかもしれないけど600人を上回る可愛い孫たちから一斉に「すきー !」と言われると青春が戻ってきたような心の昂まりを感じてしまいました。</p><p>久しく恋心など味わったことがありませんでしたが、よし、こんな可愛い孫たちのためにも精一杯恋をしようと80歳のおじいちゃんは蘇った若き日のように心だけは奮い立っています。</p><p>そして孫より上の世代の我が息子や娘たちも立派に育ち、劇団のために勢力を傾けている姿を見ると時々頑固ジジイのようにただうるさい存在でしかなくなった自分の居場所が徐々に薄れていく寂しさも感じています。</p><p>このような感傷めいた心の状態も世の常で歳をとった誰もが通り過ぎる過程でもあり、80代というのは残りの持ち時間を気にしながら1日1日を大切に生きていく覚悟を持たなければならない年代だと自らに言い聞かせております。</p><p>皆さんから長生きしてくださいと言われますが、与えられた生命を自力で生きているわけではないので何歳まで生きられるか神のみぞ知るということでしょうか。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-75501637983536113462022-07-04T09:32:00.000+09:002022-07-04T09:32:51.351+09:00令和4年 7月号<p> 私の妻が「小さな貴婦人」の初日に向かうバス停で何気なく後ろに下がった途端に側溝の蓋がない僅かの所に足を取られそのまま動けなくなり、救急車で病院に担ぎ込まれるということがありました。</p><p>足首の踵あたりが骨折していて緊急治療を受けたあと家に帰るにも帰れず頼る人もいないので病院でそのまま連絡がつくまで待つしかない状態でした。私に知らせが入ったのは「小さな貴婦人」の初日本番直前でした。</p><p>私もどうしたものか困惑していたところに観劇に来たBプロの上原と古川の二人が急遽府中の病院まで行ってくれることになりました。折角の初日の観劇を棒に振ってまで申し出てくれたことに涙の出る思いで私の車のkeyを渡しました。これで私としては一応安心して初日を迎えることができましたが、車のkeyを預かった二人は私の車のエンジンのかけ方が分からず説明書を引っ張り出したりして相当苦労したようです。そしてなんとか病院で妻を拾い我が家まで行きましたが、そのあと2階の階段を上がるのが大変、おぶったり休んだりしながらどうにか玄関まで辿りついたということです。</p><p>それからの1週間は思うように動けない妻と私の行き届かない介護のために連日格闘が続いていました。劇団員の筑根昌平のお母様に地元の介護センターや食事のことなどいろいろご尽力いただきましたが、結局東久留米KMの越永健太郎くんのお母様のご好意でご主人が院長をなさっている信愛病院にリハビリ入院させていただくことなりました。</p><p>何から何まで劇団関係の方々にお世話いただいているご縁に心から感謝し手を合わせております。妻の骨折と一向に治らない私のコロナの後遺症(軽度の肺炎)によって後期高齢者問題が一気に訪れたような、ため息と咳き込みの毎日が続いています。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-85174402037773037982022-07-04T09:26:00.001+09:002022-07-04T09:26:04.643+09:00令和4年 6月号<p> 以前にも同じような内容で書いたことがありますが、人は自分にとって都合のいい人を良い人と言い、そうでない人を悪人呼ばわりしかねない傾向にあります。</p><p>あくまでも傾向であってそのようなことに惑わされない賢者のような人もいますが、人間生きている限り誰でも自分にとって都合の悪いと思う人は必ずいる筈です。職場にしても学校にしても、あの人さえいなかったら日々の生活がもっと明るく楽しいものになる筈なのにと、自分の尺度で測って一方的にその人を排除できないか悩み続けます。相手のことに捉われすぎてストレスが溜まり自分の身体まで蝕んでしまう例に事欠きません。</p><p>劇団でもよく聞く話ですが、劇団員の父母の悩みも深刻で、あの人がいるから父母会の活動が楽しくないと言って劇団を去っていくケースがよくあります。劇団にとっては迷惑な話ですが、劇団の歴史を振り返ると後を絶たないこのような問題に成す術もなく諦めるしかないのが現実です。</p><p>人は誰しも欠点があります。「ピエロ人形の詩」にあるように「そっちから見れば汚く見えても、こっちから見れば何て美しい」と観点を変えることができれば世の中もう少し生きやすくなるのではないかと思います。しかしこの一点だけでも実行に移すとなると簡単にできることではありませんが、特に子ども達に接している劇団の指導者は子ども達の良い面を認め引き出す努力を怠ってはなりません。</p><p>学校教育でも難しいことを私たちはミュージカル作りを通して成果を上げてきております。子ども達の能力の開発は厳しいレッスンの中から生み出されるものですが、厳しさだけでは育ちません。指導者の人間性が問われるところです。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-87948627598997569422022-07-04T09:23:00.000+09:002022-07-04T09:23:01.420+09:00令和4年 5月号<p> 今年も3月から子どもミュージカルの春公演の時期に入っています。コロナの感染がなかなか収まらない中、従来通りの稽古の環境が確保できない不自由さを乗り越え、それぞれのKMが立派に公演を成し遂げています。</p><p>出演の劇団員が本番まで全員揃わなかったり、コロナに感染した子のために急遽代役を立てたり、通常の公演ではあり得ない様々なアクシデントに見舞われながらも各地の公演は素晴らしい成果を上げています。我が子が出演する年一度の舞台を何としてでも成功させようと父母会の方々の熱い思いと結束力が、このコロナの時期としては信じられないほどの観客動員数で盛り上がっています。</p><p>そして終演後お帰りになるお客様の明るい笑顔を見ると公演作品の「愛と優しさ、思いやり」の上演テーマを改めて噛み締めることにもなり、現況のような混沌とした時代だからこそ一人でも多くの方々にご覧いただけるよう胸を張って上演することの意義を強く感じているところです。</p><p>もちろん子ども達を中心としたミュージカルですからクオリティーには限界がありますが、しかし子ども達の純粋な心から発したメッセージは観る人の心にストレートに響き渡り自らの生き方と照らし合わせて考えていただけるきっかけになっているのではないでしょうか。</p><p>戦争のように力で押さえつけ、憎しみの心で他国を制覇し権力を勝ち得たところで真の平和が訪れるはずはありません。人々の心に「愛と優しさ思いやり」があれば争いもなくなるはずですがこれ又人類の歴史を見るととても難しいことです。だからこそ幼い頃からの愛に包まれた環境が必要であり、私たちの活動が少しでも愛の実践に役立てる劇団であればと願わずにはいられません。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-59964810555363014742022-07-04T09:07:00.001+09:002022-07-04T09:34:35.701+09:00令和4年 4月号<p>不覚にも2月の頭にオミクロン株に感染し生死の狭間を彷徨っていました。最初は高熱にうなされていましたが、稲城市立病院に入院したときは熱もすっかり治まり検査の結果どこも悪くないけど後遺症がしばらく続くだろうという診断でした。</p><p>生まれて初めての入院も2日間で退院し後は自宅療養に切り替えました。しかし、咳に悩まされ身体全体がだるく食も思うように進まない日が続いていました。静養していれば自然に治るという医師の励ましの言葉を信じ何とか生還できたという感じでまだ大人しくしていますが、高齢者の死亡報道が飛び込んでくる度に自分の年齢と重ね合わせて変に納得したりもしています。</p><p>それでも私の頭の中はここでくたばってはいられない様々な案件やら目的があって動くことができないもどかしさと戦っていますが、ほとんど一ヶ月の間全て周りのスタッフが滞りなく業務を進めていてくれることを考えると、28年間の歴史の重みは確実に若い世代へと引き継がれている現況に只々頭が下がります。</p><p>今年7月で私は満80歳になります。老兵はこの辺りでケジメをつけなければと思いながらこれまでやってきましたが、コロナの感染によってその考えもまた変化してきました。運よく残された生命をどのように生かせば良いのか、劇団という組織は若いスタッフによってしっかり承継できているので、彼らの領域には踏み込まない新しい夢に向かって活動ができないものか、楽しい思いを巡らしているところでもあります。</p><p>しかし今回のことでこれまでの自らの日常の在り方を厳しく戒めることにもなりましたが、反省点としては最も単純で私にとって最も難しいこと、それは決して無理をしないということなりました。皆様の温かいご理解をお願いいたします。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-24093136803209508102022-07-04T09:02:00.002+09:002022-07-04T09:34:45.131+09:00令和4年 3月号<p> このところ2.5次元ミュージカルが益々勢いづいてきていますが、漫画やアニメを原作とする若者向けの、特に女性ファンを対象にしたものがほとんどで、私には関係ない異常な世界のように思っていました。</p><p>それでも機会があっていろいろな2.5次元の舞台を観てきましたが、それらの原作の漫画も読んだこともない私としては何が何だか全く理解できず、ただテンポの速いダンスや歌が大音響のもとで繰り広げられる異次元の世界を冷めた目で眺めているにすぎませんでした。</p><p>周りの若い女性達は夢中になってその派手な世界に引きずり引き込まれています。もう私などのいる空間ではないと思いながらも幕が降りるまで観てしまうのです。しかし漫画も読まない高齢者が2.5次元ミュージカルは自分には合わないなんて批判めいたことを言っても話になりません。現実に大勢の若者が興奮して喜んで観ていて今や社会現象にまでなっている新しいミュージカルの形になっています。カーテンコールでは観客と演者が一体となってライブコンサートのような異常な盛り上がりを見せています。 </p><p>日ごろ私達がやっているミュージカルとは程遠いと思ってしまいますが、劇団BDPの構成メンバーは2.5次元をみる若者と同様、私の尺度では計り知れない若者特有のアイディアやセンスを持っているのではないかと思い始めました。</p><p>時代は刻々変化しています。演劇界、ミュージカル界もこれまでの常識では考えられなかった新しい展開によって新しい客層を呼び込んでいます。私のような高齢者は改革に二の足を踏む傾向にありますが、我が劇団BDPは若い力が溢れています。改革を恐れず2.5次元以上のものを目指して取り組んでくれればと願わずにはいられません。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-15514165317116233102022-07-04T09:00:00.000+09:002022-07-04T09:00:03.124+09:00令和4年新年号<p>この号では劇団の基本的なことについて書きたいと思います。</p><p>劇団BDPとはなに ? と聞かれることがあります。元々劇団の母体は児童劇団「大きな夢」であり、北海道から九州まで全国25カ所で現在600名を上回る子ども達がミュージカル活動に参加しています。年数を経てその子ども達もあっという間に成長していき、高校生になると児童劇団という枠には入れられなくなる子もいて、そのために高校生以上を受け入れる劇団BDPを創設しました。</p><p>大きな夢は英語でBig DreamそれにPlay(芝居)をつけてBig Dream Play 、その頭文字をとってBDPと名付けました。従って劇団BDPは成人の劇団であり児童劇団「大きな夢」とは一線を画して活動しています。そしてBDPには高校生や大学生を対象にしたBDPアカデミーがあり独自の公演や活動も行っています。そして大学を卒業すると更にBDPプラスがあり劇団BDPの正式劇団員としてKM(子どもミュージカル)の指導講師になったり外部の舞台やマスメディアに出演できるBDP所属のプロの俳優として活躍できるようになります。更に昨年発足したBlanc(ブラン)はプラスのメンバーの有志が独自の活動を目指して立ち上げたもので、この先の自由なアイディアと行動力が楽しみです。</p><p>ところで劇団は「大きな夢」というのが原点であり、大人も子どもも出来るだけ大きな夢を描こうではないかということで出発しました。特に子ども達にとって大きな夢を描くことは最も大切なことで、いわば将来に対する設計図を作るようなものです。その夢が大きければ大きいほど登山と同様高い山の頂上に到達するための厳しさは増していきますが、劇団も大きな夢の実現に向けてどんな困難にも立ち向かう覚悟で登山を楽しみながら今年も邁進していきます。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-87010038526775547392021-12-27T19:30:00.003+09:002021-12-27T19:30:51.195+09:00令和3年 12月号<p> 劇団の主催公演「リアの食卓」で久しぶりに舞台に立ちました。若い時には経験したこともないようなプレッシャーに押しつぶされそうになりながら必死にもがき苦しんでいました。</p><p>覚えたセリフがまともに出てくるのか、頭では覚えていても動きが入ったり、相手役と丁々発止やり合ったりすると途端に真っ白になることもあり、そうなると致命傷です。そんなことにならないためには身体で覚えるしかなく、稽古期間中は何度も暇さえあれば繰り返し独り言のように身体に染み込ませる努力をしていました。</p><p>それでも本番になると稽古の時はなんの問題もなく進んでいた箇所で突如セリフが出てこなかったり大事なセリフを飛ばしてしまったこともあり、これは一体なんだろう? 緊張なのか? 年齢の衰えから来るものなのか? 不安が一気に襲ってきました。心が乱れ益々演技に集中できなくなってしまいます。観客にはほとんど分からなくても自分の中では崖から突き落とされたようなショックで混乱に拍車がかかります。</p><p>これまで何十年も役者やっていて嘗て経験したこともないこのような心の葛藤から来る恐怖心は決していい結果を生みません。平常心で演じることがいかに難しいことか老いて尚鋭く突き刺さってくるのです。周りの若い出演者を見ていると不安など全く関係ないように見えて羨ましくなるときもありますが、彼らも又それなりの葛藤の中で懸命に演じていることを思うと、やはりナマの舞台というものは安楽ではない深く厳しい修練の場であるに違いありません。</p><p>私は今回ほど年齢の限界を感じたことはなく、そろそろこの辺りで役者を退いてもいいと思えるきっかけを与えてくれた舞台となりました。</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-58581008915807936032021-12-27T19:28:00.002+09:002021-12-27T19:28:24.303+09:00令和3年 11月号<p> 女性にとって体重が増えることはそんなに嫌なことでしょうか。確かに食べ過ぎてブクブク太るのはよくないと思いますが、普通に食べて健康であれば何も無理にダイエットする必要もないと思ってしまいます。</p><p>劇団にいる子でも中学生くらいになるとダイエットに夢中になり極力食事制限をして痩せようとします。これまでも何人もの親御さんから個人的に相談され本人に直に会っていろいろ話をしたこともありましたが食事を制限し過ぎて拒食症になり普通の生活ができないほど病んでしまった子もいました。</p><p>例えば友達から太っていると言われたり、ダンスやバレエの先生からもっと痩せなさいと言われたことなどが引き金になって、必要以上に深刻に受け取って悩み、食べることが罪を冒すような強迫観念に苛まれるようになってしまうのです。</p><p>20年くらい前でしたが、劇団の女の子がダイエットし過ぎて入院騒ぎまでなり、それでも元に戻すこともできず療養地のようなところへ転院したにも関わらずその後廃人同様になったという知らせを受けたことがありました。特殊な例だとしても初期の段階で気がつけば適切なアドバイスができたのにと悔やまれてなりません。</p><p>女の子たちは何故そんなに痩せることに憧れるのか、欲しいものも食べないで我慢をしてひたすら痩せることに費やす人生なんて何のために生きているのでしょう。痩せれば美しくなれるという迷信を実践しても傍目からは病気のような生気のない人間に映ってしまうのです。</p><p>若者の特権は大いに食べて思う存分からだを動かし明るい快活な生き方をすることにあるのです。親から与えられた身体を大切に活かすことが生をうけた子どもの勉めでもあると思います。(女性から反対意見で攻撃されるかもしれませんね。怖い!!)</p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3091628608206557349.post-53613671588146507712021-12-27T19:26:00.002+09:002021-12-27T19:26:26.061+09:00令和3年 10月号<p>匿名のメールが時々劇団宛に来ますが、これほど厄介なことはありません。一方的に言いたいことだけ言って自らを名乗らないのは対応に困ります。劇団がコロナ感染対策を怠って子ども達の安全を脅かしているなど全くの誤解に基づくものですが、私たちがどれだけ感染対策に苦慮し重点をおいて活動しているか、組織の末端にまで届いていないもどかしさを感じてしまいます。</p><p>「現在のコロナ禍にあって何故こんな時に各地の公演を強行するのか、子どもや親心を利用して金を搾取し、利益だけを考えているのは悪徳宗教に似た悪意を感じる。これまで子どもたちのためだと代表者が語ってきたことは嘘ばかりだったと気づいた。」「父母会役員が行政の要請を断り一般会員の意見も聞かずに周りをねじ伏せて公演を強行しようとしている。これも劇団の組織的指示なのか」等どうしてここまで飛躍するのか、悲しくなるばかりです。</p><p>いちいち気にしていても埒が明きませんが、往々にしてSNSで誹謗中傷するのと同様、なぜ真実を確かめないで投稿してしまうのか、卑怯なやり方としか言いようがありません。ただ劇団は公的な学校ではないので悪意を感じるような場所だと思われるならさっさと辞めてもらった方がいいでしょう。</p><p> コロナ渦のことに限らず、劇団は各KMの父母会の独自の運営を尊重しています。ですから劇団が強制的に指示することもなく、あくまでも父母会役員と話し合い地域の様々な状況など兼ね合わせた上で双方合意のもとで運営してもらっています。劇団だけが先走ることもなく、行政からの指導に逆らうこともなく、子どもたちの安全を第一に考えながらこの厳しい時期を乗り越えています。 </p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p><p><br /></p>劇団通信http://www.blogger.com/profile/04579137519159847769noreply@blogger.com