2018年2月15日木曜日

2017 劇団通信11月号

新百合子どもミュージカルの劇団員の植田温子は以前にも紹介しましたが今年の夏の高校野球東京大会の開会式で君が代を独唱しました。新聞にも写真入りで取り上げられましたが、その中に彼女は幼い頃から牛に向かって歌っていたという記事がありました。

実家が北海道の紋別で牧場を営んでいるので、10月8日の稲城KMの女満別大空町公演の後レンタカーで紋別の実家まで行って来ました。ご両親の案内で生まれたての子牛から分娩前の雌牛まで400頭の牛をじっくり見せてもらいました。成る程こんなにかわいい子牛の前で歌っていたのかと温子の幼少の頃を勝手に想像していましたが、ふと彼女は一体どうしてこんな紋別の片田舎から札幌の子どもミューシカルまで通っていたのかと不思議な気がしてきました。

植田温子は小4の時に札幌KMに入りましたが、紋別からバスで片道4時間かけて札幌まで毎週通い続けていました。従姉妹が札幌KMにいたので稽古前日の夜は泊まり、翌日稽古が終わるとまた4時間バスに揺られて帰るという並の人間にはできないことをやっていたのです。

小学生を一人で4時間かけて札幌まで行かせるご両親の寛容さにも脱帽ですが、更に中学を卒業して東京の国立音大付属高校に入学した彼女の一人暮らしを心配しながらも応援している親御さんの心意気にも感心してしまいました。

彼女は上京するとすぐに新百合KMに移籍し親代わりと称する父母会の方達の庇護のもとで勉学に励んでいます。日本の最果てに近い紋別で牛を相手に歌っていた少女が東京の神宮球場で15,000人の観衆が見守る中、君が代をアカペラで高らかに歌ったあの光景はいつまでも私の脳裏に焼き付いています。