2019年5月1日水曜日

令和元年5月号

平成から令和になった記念すべき5月です。

劇団は平成5年に立ち上がり平成の時代をがむしゃらに走り抜けてきました。私が50歳の時劇団四季を辞めなければならなかった事件があり、芝居一筋に生きてきた人生の終末を迎えたようなどん底の中で思いついたのが「大きな夢」でした。

子どもたちと一緒に「大きな夢」を描いてみたい!!  51歳の時に近所に出来たばかりの城山文化センターを拠点に児童劇団をやってみようと思い立ち、家内と二人で3.000枚の募集チラシを配り10月31日の日曜日を最初のレッスン日に設定してスタートすることにしました。

果たして人が集まるのか、全く未知数で不安な気持ちもありましたがどうにか10人の子どもたちが集まってくれました。全員小学生でホッとした気持ちもありましたが保護者の鋭い視線が飛び込んできました。

一人の母親に「本当にあなたは教えることができますか」と不審な目で尋ねられ、それまで考えてもいなかった「責任」という重みが一気にのしかかってきました。子どもたちを預かるということは芝居の世界で長い間生きてきたという経験だけでは済まない人としての精神性や包容力、更には子ども達一人一人の才能を見極め引き出していく指導能力など自身の人間性を問われていることを強く自覚した瞬間でもありました。

10人で立ち上がった児童劇団「大きな夢」が700人に近い劇団員を擁する組織にまで広がり、劇団四季や宝塚歌劇団に入団した者、あるいは舞台や映像の世界で活躍している劇団出身者も増えてきました。

令和の新しい時代に移り子ども達が劇団で培った力を生かして益々輝いてくれればと祈らずにはいられません。