2019年10月1日火曜日

令和元年 10月号

劇団で大変お世話になっている慶應義塾大学医学部眼科教授の坪田一男先生は数多くの書籍を出版なさっていますが、その中の一冊に「ごきげんな人は10年長生きできる」(文春新書)というのがあります。

「ごきげん」と言いう言葉は先生の専売特許のように日常の会話やあらゆる著作物にも登場しますが、「ごきげんだから幸せになれる」というのと「幸せだからごきげんになれる」という根本的な違いを医学的見地に立って解りやすく解説されています。

坪田先生の徹底した「ごきげん主義」は私などとても近づくことのできないポジティブな生き方で、お会いするたびに刺激を受け自らの未熟さを反省させられています。人の欠点よりも長所を認めてごきげんになれと言われても私のような凡人には容易くできることではありませんが、先生は学生時代に「どんな時でもごきげんを選択する」と決意して「人間は誰しも足を踏まれればムッとしそうにもなるし、思いがけない哀しい出来事に見舞われることもある。挫折や失敗を全く知らない人間なんているのだろうか」との一般的考えに対して先生は敢えて「ごきげん」というご自分の仮説を実証するために現在に至るまでその生き方を貫いていらっしゃいます。

私たちは日頃の多忙な生活の中でともすると忘れかけている「幸せを感じる力」「より良く生きる力」を取り戻すための具体的なトレーニングを怠ってはいないか、スポーツだって芸術だって最初からプロ並みに上手い人はいないのと同じように「しあわせ」も時間をかけてトレーニング(練習・訓練)することが大切だとはっきりお書きになっています。
今からでも遅くないといつも思ってはいますが‥‥