2023年3月18日土曜日

令和5年3月号

 昨年の「夢コン」で卒団していった劇団員は25名でした。年々その数が増えていきますが、それぞれ卒団した後の進路も気になります。

演劇や音楽の道に進むために大学や専門学校に行く者もいれば、劇団四季や宝塚歌劇団を目指してプロになるためのレッスンに励む者もいます。中にはその後の進路や活躍している現況を丁寧に報告してくれる者もいますが、知られたらまずいとでも思うのか何も報告がないまま遠ざかってしまう子もいます。

恐らく同じような業界でもっとチャンスを掴めたらと思ってのことでしょうが、別に隠すことでもなく堂々と胸を張って言ってくれればいいのにと残念に思うことがあります。

それならまだしも過去にあった別の例ですが、幼い頃から親身になって育ててきた大学生がある時一言の挨拶もなしに退団してしまうという礼儀知らずな行為に面食らったことがありました。挨拶するという最低のルールさえ守れない子だったのか、親御さんも然りで虚しさだけが残っています。これに似たようなケースはいくつもありました。

私たちの劇団は子ども達のやりたい進路を妨害したり否定したりする訳では決してありませんが、進路を決める前に間違った選択だけはしないようにと願う親心はあります。ほとんどの劇団員がこの業界のことをあまりにも知らないために少しでも参考になるようなアドバイスをしてやりたいと思うのは人情であって、いわば私たちの義務でもあります。

知らないために高額な入会金や登録料を支払い、おざなりのレッスンでごまかされている例には事欠きません。大手のプロダクションなどでも新人発掘のために多くの人材を募集し、その中で一人でも逸材を発見できれば御の字という裏事情もあってか、他の者は犠牲者的な扱いで一定期間を終えることにもなりかねません。

憧れているようなスターになりたいのか、芝居やミュージカルの舞台で活躍できる役者になりたいのか、あるいは劇団に貢献しながら俳優としても活躍したいのか、選択肢も様々、保護者共々見極める目を持つことが問われます。