blanc(ブラン)という劇団の若手のグループが1月末小劇場で4日間の公演を行いました。メンバーの4人はそれぞれが児童劇団「大きな夢」で育ち大学や専門学校を経て現在劇団BDPの役者として活躍する一方「子どもミュージカル」の指導講師や事務局スタッフとして献身的に仕事をしてくれている頼もしい存在の面々です。
脚本から演出まで全て自分たちで創り上げた今回の演目「遅咲きの一室」はこれまでに抱いていた彼女たちのイメージを一新させた上質のコメディーとして見事な舞台を現出させてくれました。
嘗て大阪芸大でしっかり学んできた福原佑実の脚本は遅咲きではなく早咲きの一面を垣間見たような笑いの内に終幕では友情の絆でほろりとさせられるという構成の妙。逸材の脚本家の片鱗を思わせる小さな舞台での大きな成果に胸が弾みました。
また現有の劇団員の中ではベテランの域に入ってきた小渡優菜は新しいキャラクターに挑戦、少々頭の足りない役者志望の役柄を懸命に演じている姿に役者魂を見せつけられた思い、今後の期待度が益々高まっていきます。
そして驚いたのが濱由季子の演じたYouTuberの役。序盤から明るいテンポで惹きつける独特の存在感、元々ダンサーとしてこれまで劇団の舞台でも魅力あるダンスを披露していましたが今回は全くダンスなしの女優としての出演。持ち前の響く声を存分に発揮して爽やかに演じていました。
そしてもう一人のメンバーの古川美帆は普段は事務局の仕事で現場の舞台に顔を出すことはありませんが、そこは長年KMで鍛えたキャリアを活かして持ち前の悪のかけらもないような平和なキャラクターを熱演していました。
又今回BDPの先輩伊藤香が協力出演、登場しただけでも笑いを誘う面白いキャラで歌も歌って花を添えていました。そして脚本の福原佑実も売れない漫画家の役を売れているように嘘で惑わす役を好演し、しかも演出も兼ねての大活躍。今回のblancの公演は予想外の実りあるものとなりました。