2020年3月12日木曜日

令和元年 12月号 

先日慶應義塾大学眼科創設100年記念講演会と祝賀パーティーに招かれましたが、その講演会でお話なさったある教授の話で強く印象に残った言葉がありました。

「①お金を残すのは三流 ②名前を残すのは二流 ③人を残すのは一流」
と格言めいたお話でしたが、①はお金を残せない私には都合のいい言葉だと納得してしまいました。しかし③の「人を残す」ということはどれだけ難しい問題であるか改めて考えてみることにしました。

最近になって中小企業など承継問題の深刻さが報道されていますが、後継者がいないために廃業にまで追い込まれている会社が後を絶たないそうです。中小企業に限らず大企業でも大組織でも医学界やスポーツ界などあらゆる分野においても人材の確保が如何に重要な鍵を握っているか「人を残す」という短い言葉には人生を左右する計り知れない奥行きがある事に気づかされました。

さて日本の「劇団」という組織に目を向けると、新劇という演劇活動が始まった頃から実力のある役者や演出家の強いリーダーシップによって一世を風靡していた大手の劇団もいくつかありましたが、代替わりになって世の中の変化と共に以前のような勢いがなくなってきたように思われてなりません。

寂しい現象ですが後を託す人材の育成が疎かになっていった結果でもあり、又社会全体がITによって大きく変化していく中で継続するだけでは取り残されていく現実もあり、これからの劇団のあり方も大きく改革していかなければならないところにきているように思われます。

幸い我が劇団は将来を託せる若者達の裾野がどんどん広がってきていますので、若い人の力で改革を強力に推し進めてくれることを期待しています。