2023年5月30日火曜日

令和5年 5月号

最近劇団を卒業していった教え子たちから舞台の案内がいろいろ来るようになりました。それらの招待状が届くたびにそれぞれの道で活躍している姿を思い浮かべ、できるならその奮闘ぶりを実際に見て声援を送りたい親心も湧き上がってきます。しかしスケジュール的にうまく調整できないこともあってやむ無く断りを入れることもあります。劇団在籍時に私に絞られた子がその後の成長をぜひ観て欲しいと言ってくる健気さも理解できるので誠に心苦しいところでもあります。

先日東京芸大声楽科ソプラノ専攻3年の神原愛可(初台KM出身)が同期の3人でコンサートをやったのを観に行きました。神原は初台KMにいる時からメインで活躍していましたが、てっきりミュージカルの道に進むと思っていたのが桐朋学園の声楽科を経て難関の東京芸大声楽科に進みそのガッツに驚かされました。その時々に彼女は心境を知らせてくれていましたが、今回のコンサートは彼女がどの程度成長したのかを確認できる絶好の機会だと思い雨の中を出かけて行きました。

劇団にいた頃の彼女の歌声がなんとなくは頭に残っていましたが、舞台に立ったソプラの歌声を聴いた途端、戦慄にも似たようなショックを受け唖然としてしまいました。これまでもプロのソプラノ歌手の歌は何度も聴いていましたが、この時は劇団にいたあの子がこんなにも変わることができたという驚き、鍛えて作り上げていく凄さをまざまざと見せつけられてしまったのです。声は磨けば磨くほど限りなく向上するということを目の前で示してくれたコンサートは私に新たな活力を与えてくれた幸せなひと時でした。