2022年7月4日月曜日

令和4年 6月号

 以前にも同じような内容で書いたことがありますが、人は自分にとって都合のいい人を良い人と言い、そうでない人を悪人呼ばわりしかねない傾向にあります。

あくまでも傾向であってそのようなことに惑わされない賢者のような人もいますが、人間生きている限り誰でも自分にとって都合の悪いと思う人は必ずいる筈です。職場にしても学校にしても、あの人さえいなかったら日々の生活がもっと明るく楽しいものになる筈なのにと、自分の尺度で測って一方的にその人を排除できないか悩み続けます。相手のことに捉われすぎてストレスが溜まり自分の身体まで蝕んでしまう例に事欠きません。

劇団でもよく聞く話ですが、劇団員の父母の悩みも深刻で、あの人がいるから父母会の活動が楽しくないと言って劇団を去っていくケースがよくあります。劇団にとっては迷惑な話ですが、劇団の歴史を振り返ると後を絶たないこのような問題に成す術もなく諦めるしかないのが現実です。

人は誰しも欠点があります。「ピエロ人形の詩」にあるように「そっちから見れば汚く見えても、こっちから見れば何て美しい」と観点を変えることができれば世の中もう少し生きやすくなるのではないかと思います。しかしこの一点だけでも実行に移すとなると簡単にできることではありませんが、特に子ども達に接している劇団の指導者は子ども達の良い面を認め引き出す努力を怠ってはなりません。

学校教育でも難しいことを私たちはミュージカル作りを通して成果を上げてきております。子ども達の能力の開発は厳しいレッスンの中から生み出されるものですが、厳しさだけでは育ちません。指導者の人間性が問われるところです。