2023年12月25日月曜日

令和5年 10月号

 最近のミュージカルの舞台は観客事情が大きく変わってきたように思います。

これまでもソロで歌い終わった役者には当然のように客席から拍手が起こっていましたが、最近では劇中でリズムに乗れるような歌のナンバーが出てくると、それに合わせて観客が手拍子するまでになってきました。更にカーテンコールになると拍手が会場一杯に鳴り響き、出演者が舞台上でバウ(おじぎ)するのが4度目くらいになると一斉に立ち上がってスタンディングオーベーションに変わります。

確かにブラボー !!と拍手を送りたい時もありますが、逆にそれほどでもないような舞台でもお決まりのように観客総立ちで拍手を送るようになってきました。私のような偏屈者は意地でも立ちたくないと思った時は座ったままで前に立っている人のお尻をじっと眺めていることにもなります。恐らく私と同じように立ちたくない人もいるでしょうが、よほどの信念と勇気がない限り雰囲気に負けてしまうでしょう。なんとかならないものかと思っても観る人それぞれ感性や興奮度が違うので一概にどうすることもできずただ我慢するだけです。

そんな私だっていつかロンドンで「マンマミーア」を観た時はカーテンコールで異常なほど興奮し縄跳びのようにジャンプを繰り返し拍手を送ったこともありました。とにかく出演者にとっては観客の拍手は演じた舞台が認められた証のように捉え、何よりの励みとなって益々舞台の魅力に取り憑かれていきます。

我が劇団の公演でもそのような傾向が今年になって特に目立つようになってきました。それでもまだ拍手をしていいものか戸惑っているお客様もいるようですが、そのうち子どもミュージカルでもスタンディングオーベーションが当たり前になってくるのかもしれません。

それにしても上演中の携帯の呼び出し音や幼児の泣き声など、お客様の事情がどうあろうと最低のマナーだけは守ってほしいと-----いやいやそれでもお客様は神様でございます。