Bプロの演技レッスンを狭い事務所で不定期ではあるが私のスケジュールの空きがある時にやっている。
大体4、5人のグループで2時間バッチリ、午前と午後、あるいは夜間と続けてやる時もあるが不思議と疲れない。それは可愛い子ども達がおじいちゃんを囲んで孫やひ孫と団欒しているような雰囲気でのレッスンであるから、私にとっては若返りのひと時と位置付けている。
何よりも談笑の中で一人一人の性格や向き不向きがよく分かり堅苦しい面接などでは得られない貴重な発見の場にもなっていて、外部のオーディションなどに行かせる時の人選にも役に立っている。
小学生はとにかく可愛い、中学生は大人の雰囲気で輝き始めている子もいて高校生と一緒にレッスンするような時もある。先日滑舌の基本的な話の中で、しゃべりにもいろんな言い方があって例えば寅さんの口上ように、と言ったところで、そうか「寅さん」って知ってるか ?と念を押したところ全くの無反応、それじゃ「男はつらいよ」という映画は ? 知りません。ちょっと待てよ、そんなことも知らないのか、山田洋次監督は? 尚更わからないと首を傾げる。えっ? 君たちは映画観ないのか ? 無反応、黒澤明監督は ? そうか、知らないのか、では清純派の女優としてデビュー以来日本の映画界のトップ女優として今なお第一線で活躍している吉永小百合は ? 知らない---残念 !
この時集まっていた中学と高校生は映画もテレビも見ないという。ほとんどスマホで事足りているようだ。そんな勿体無い、素晴らしい映画を観て感動し、感性が磨かれるようなことはないのか、果たして年齢の差によるものなのか、家族も含めて環境がそうなのかは分からないが兎に角一番吸収できる時期に、しかも現に劇団にいて舞台に立って演じている若者がそれでは困る。
あゝ目の前にいる中高生と私は70年近い開きがあり自分が宇宙人のような存在に思えてしまう。いやいやそれでも先輩として凛とした姿を見せなきゃ