2018年9月25日火曜日

2018 劇団通信3月号

京都大学で学生に最も人気のある講義をしている瀧本哲史客員教授が14歳に向けて書いた「ミライの授業」(講談社)とい本が出ています。

14歳に向けた「冒険の書」であり、大人たちが知るべき「教養の書」であると本の帯に書いてありますが、なるほど読んでみると全ての若者に、また親たちにもぜひ読んで欲しい内容なのです。「14歳のきみたちへ」と題して冒頭から切り込んできます。

『14歳のきみたちに、知っておいて欲しいことがある。きみたちは、未来に生きている。きみたちは未来の住人であり、大人たちは過去の住人なのだ。これは比喩 (たとえ話)ではなく、事実としてきみたちは、未来に生きている。その理由を、簡単に説明しよう。

14歳のきみたちは、21世紀に生まれた最初の世代だ。昭和の時代を知らないのはもちろんのこと、20世紀の空気にも触れていない。生まれた時には2000年代で、21世紀だけを生きてきた。一方、きみたちのお父さんやお母さんが中学生だった頃、21世紀という言葉は特別な輝きをもっていた。どんな輝きか?

 ひとことでいえば、21世紀は「未来そのもの」だった。人々は月や火星に宇宙旅行をして、自動車は空を飛び回り、人間そっくりのロボットと友だちのように暮らしている。誰もがそんな21世紀を想像していた。

きっと君たちにとっては笑い話でしかないだろう。月や火星に旅行するなんて遠い夢物語だし、自動車はいまだ黒いタイヤで地上を走り、ロボットと友だちになれるのはマンガの主人公くらいのものだ。

そう、残念ながら大人たちは、自分が夢見た21世紀を、実現できなかったのだ。
そして21世紀という言葉に触れるたび、大人たちは心の中でこう思う。

「こんなはずじゃなかった」と。』