2021年12月27日月曜日

令和3年 10月号

匿名のメールが時々劇団宛に来ますが、これほど厄介なことはありません。一方的に言いたいことだけ言って自らを名乗らないのは対応に困ります。劇団がコロナ感染対策を怠って子ども達の安全を脅かしているなど全くの誤解に基づくものですが、私たちがどれだけ感染対策に苦慮し重点をおいて活動しているか、組織の末端にまで届いていないもどかしさを感じてしまいます。

「現在のコロナ禍にあって何故こんな時に各地の公演を強行するのか、子どもや親心を利用して金を搾取し、利益だけを考えているのは悪徳宗教に似た悪意を感じる。これまで子どもたちのためだと代表者が語ってきたことは嘘ばかりだったと気づいた。」「父母会役員が行政の要請を断り一般会員の意見も聞かずに周りをねじ伏せて公演を強行しようとしている。これも劇団の組織的指示なのか」等どうしてここまで飛躍するのか、悲しくなるばかりです。

いちいち気にしていても埒が明きませんが、往々にしてSNSで誹謗中傷するのと同様、なぜ真実を確かめないで投稿してしまうのか、卑怯なやり方としか言いようがありません。ただ劇団は公的な学校ではないので悪意を感じるような場所だと思われるならさっさと辞めてもらった方がいいでしょう。

 コロナ渦のことに限らず、劇団は各KMの父母会の独自の運営を尊重しています。ですから劇団が強制的に指示することもなく、あくまでも父母会役員と話し合い地域の様々な状況など兼ね合わせた上で双方合意のもとで運営してもらっています。劇団だけが先走ることもなく、行政からの指導に逆らうこともなく、子どもたちの安全を第一に考えながらこの厳しい時期を乗り越えています。 





令和3年 9月号

歳を重ねてくると残された時間を嫌でも考えるようになります。そして果たして自分の生き方が良かったのか、これまでやってきたことが本当に自分のやりたかったことなのか、などと反省も含めて振り返ったりもしますが、一方ではそれでもまだ出来ることはあるはずだと歳を省みず少し前向きな生き方に心を揺さぶられることもあります。

この世に生きている人間は誰一人として同じ人はいません。自分というキャラクターは世界でただ一人、だったら世の常識や平均年齢などに惑わされることなくやりたいことをやればいいじゃないか、ある意味わがままを通したっていいじゃないかと思うのです。もちろん自分のわがままで周りに迷惑をかけたり害を与えたりするのではなく、自分という存在意義をしっかり見つめた上でのわがままであれば許してもらえるかもしれないと思うのです。

元来気の弱い私は人様に気を使うことが多く、全てが丸く収まるように感情をコントロールしながら人間関係の維持に努めています。その結果仕事上でも双方が諍いや争うこともなく円滑にいっていると勝手に思いこんでいるところがあり、時々そのような対応が煩わしくなって思いっきり大声を張り上げたくなる時があります。

これまで忍耐第一と言い聞かせながら大人しく‥? していましたがそれでいいのかと自問を繰り返す日々が続いています。自分の気持を素直に表現できる「わがまま」は許されてもいいのではないかと思いますが、「何をとぼけたことを、これまでも充分にわがままを発揮していたくせに」と反発の声が聞こえてきそうです。

ハイ、確かにそうですが、わがままに見えないやり方を工夫しようと思っています。





2021年8月9日月曜日

令和3年 8月号

 最近劇団員や劇団出身者の外部の大舞台での活躍が目立ってきた。劇団四季の人気ミュージカル「アナと雪の女王」は6月に開幕したばかりだが、新百合KM出身の浦山遥が出演するというので招待してくれた。アンサンブルの中でも主要な役で活躍している彼女の奮闘振りに心湧き立つ思いで見入っていた。

又、西船橋KM出身の辻本朱里が宝塚の初舞台で新人の口上を述べるというので本拠地の宝塚大劇場に足を運んだ。宙組(そらぐみ)の公演で折しもそこには初台KM出身の田草川ゆかり(澄風なぎ)が大先輩として出演している。

その公演の冒頭で新人としての辻本の口上を述べる初々しさに今後の活躍を期待せずにはいられなかった。それにしても先輩の澄風なぎの成長振りには目を見張るものがあり、舞台上での華やかさキレの良さ、笑顔の素晴らしさに惹かれ久々に宝塚を堪能してきた。

さて、出身者でなく現役の劇団員でいきなり話題のミュージカルの主役に抜擢された幸運な男の子がいる。10月7日から東急シアターオーブで開幕する「オリバー !」の主役オリバー・ツイストに東久留米KM越永健太郎(中1)が厳しいオーディションを突破して選ばれたのだ。

B-プロに所属してこのチャンスを掴むことになった。併せて浦安KMの黒川明美も子役のアンサンブルとして出演する。又大先輩の西船橋KM出身の北川理恵も「オリバー !」で共演するが彼女は現在様々な大手の舞台で切れ目なく活躍、アニメ「プリキュア」の主題歌も歌っている。

南大沢KM出身の高原華乃は8月7日からの銀河劇場での「鬼滅の刃」に出演、大阪でもやって東京の凱旋公演が控えている。

これからもB-プロを通してメジャーで活躍する劇団員の輩出を期待するところである。






令和3年 7月号

 若い人たちを見るとうらやましく思う度合いが日に日に濃くなっていく。肌をみれば何の汚れもないようにツルツル輝いているし、例えニキビが花盛りであっても全身から発散している生気が漲っている。若さというものはあらゆる可能性を内包しているから自分の人生をいくらでも有意義に大きく展開させることができるからうらやましいのだ。

思うようにいかなくても失敗しても恐れることはない。いくらでもやり直せばいい。世の成功者と言われている人は失敗や挫折を人並み以上に経験し、そこから這い上がってきた人達だ。

スポーツや芸事は厳しい練習や稽古を繰り返しやっていることは誰でも知っている。行く手を阻む壁が立ち塞がりそれを乗り越えなければ勝利を掴むことができないことも知っている。しかし長い人生に例えるとスポーツの訓練のように必死に耐えて努力をしなければならないことを知っているだろうか。

一度や二度どん底に落ちたからと言ってそこで諦めてしまったらそれでおしまいだ。這い上がってそれまでの失敗の経験を生かして再び挑戦していけばいいのだ。若者の持つエネルギーというのは簡単に枯れたりしないが年齢を重ねてくるとあっという間に下降線を辿ることは誰よりも私自身が一番よく知っている。だからこそ若いうちにどんどんチャレンジしていけばいい。それが若者の特権でもあるのだ。

のほほんと遊びや快楽に浸っているうちにその特権はいつの間にか期限切れになって消えてしまう。今、今を精一杯生きないのは勿体ない。明日がないと思えば今日をどれだけ真剣に生きられるか、一日一日を大切に生き切る自分の人生を豊かなものにしてほしいと願わずにはいられない。





令和3年 6月号

 コロナ禍にあって劇団もいろいろ振り回されていますが成るようにしかならないと腹をくくって開き直っています。5月のゴールデンウィークを挟んで出された緊急事態宣言が5月一杯に延長されると聞いた時にも3日後のアカデミー公演「彼女たち」はどうなるのか心配しても仕方ないので成り行きに任せることにしました。幸い劇場使用が宣言下にあっても50%の集客であれば可能という政府の緩和策が施されギリギリで上演態勢に入ることができました。

ところがゲネプロの日になってメインキャストの一人が身体の不調を訴えたために万が一のことを考えて降板させ代役を立てることにしました。何ヶ月も稽古して積み重ねてきた役を、しかも予めアンダースタディーとして控えていたならまだしも、代役でできるのか !? バニック状況に陥りました。

演出助手の福原佑実であれば出来るかもしれない、と演出の中沢千尋が本人に打診したところ複雑な思いを抑えてOKしてくれました。本番の前日です!!  夜も眠れなかったに違いありません。一応カンニング用に持ち道具のファイルに台本を忍ばせてやりましたが、正に奇跡 !!  何の損傷も感じない程凄腕のピンチヒッターは本番の舞台でしっかり役目を果たしてくれました。

彼女がいなかったら公演中止になっていたところを見事に救ってくれました。又2日目の最終回では上演途中で気分が悪くなった高校生がいてその穴埋めに出演者が本番中必死でカバーするという前代未聞のアクシデントもありました。しかしキャリアのあるチームワークによってこれまでにない高い評価を受けるに至り、成るようになった感慨深い体験をすることになりました。




2021年5月21日金曜日

令和3年 5月号

 3月から4月にかけて卒業や入学、そして就職など社会全体が大きく変化する時期でもあります。新しい環境に胸を弾ませる者もいれば、緊張で身体の具合が悪くなったり、未知の世界に飛び込むような不安にかられて精神的に落ちこんだりする人もいます。

しかしいずれにしても人間誰もが通過しなければならない道のりであり、こんな筈ではなかったと思いながらも、大なり小なり人生の訓練所に入って磨きをかけられていくのです。私のように高齢者になっても未だにこれでもかこれでもかと研磨機にかけられていますが、若い人とは比べ物にならないほど人生のキャリアがあっても容赦なくふりかかってきます。

高い山に登ろうとすれば試練の連続、低い山の頂上で団欒するような楽しさはありません。自分はどの程度の高さを目標にしているか、人それぞれ目指すところは違っても人間を鍛え上げてくれる研磨機から逃れることはできません。

但し磨かれる度合いにも段階があって適当に平凡な人生を送ればいいと思うような人にはそれなりに柔らかい研磨機で済まされても、芸術やスポーツなど限りない努力を求められるような世界では厳しい研磨機が次から次へと与えられ徹底して磨きをかけられるのです。

若い人にはどんな夢でも描ける自由が与えられています。そしてチャレンジできる無限の可能性があります。その夢を育むために向上心という素晴らしい意識を持ち合わせています。

自分が好きで夢中になれることの中に本来の才能があることを信じて果敢にチャレンジしていってほしいと思います。 





令和3年 4月号

 ある子どもミュージカルでの話ですが、公演をすることになっていた会場が突如新型コロナウイルスのワクチン接種の会場に決まったために予定していた公演ができなくなったというのです。行政が決めたことなのでいくら文句を言っても通用するはずもありませんが、あまりに一方的な強引さに開いた口が塞がりません。

しかし父母会の皆さんは怯むこともなく代替の会場を探し出し、却ってキャンセルした会場よりも数倍もグレードの高いホールが見つかったというのです。私は素晴らしい教訓として拍手を送りたい気持ちになりました。

もちろん経済的には当初の予算を遥かに上回ること必定で劇団としてもその埋め合わせをしなければと思っていますが、キャンセルになった途端の父母会の素早い対応、行政に対する怒りよりも気持ちを切り替えて行動を起こしたその結果が通常では考えもつかなかったような最良のホールが与えられたのです。

しかしその後キャンセルに対しての賠償問題などがあるにしても、いち早く公演を成功させるために奔走したこのカンパニーの快挙が今後どのような影響をもたらすのかとても楽しみになってきました。

何事もマイナス的に捉えるのではなく、きっと良くなるという信念を持って前向きに進んでいくことが最も大切なことのように思います。その時点では最悪と思われるような事でも後になって考えてみると人生の重要なターニングポイントとなっていることに気がつきます。たとえ無駄と思われるようなことがあってもそれは自らを高めるために与えられていると思えばいいのです。

必ず良くなるという信念を持つことが人生必勝の真理だと思いたいですね。